ラグビーマッチを観戦していると、審判がかける声が特に注目されることがあります。特にテレビ中継では審判の声がマイクを通してクリアに聞こえるため、多くの観戦者が興味を持つかもしれません。
スクラムが組まれる際に審判が放つ力強い声は非常に印象的です。その声が英語であることは認識されているものの、何を言っているのか、またその意味が具体的に理解されていない観戦者もいるでしょう。
この記事では、スクラム中に審判が使用する掛け声とその意味を詳しく解説します。
スクラムでの審判の掛け声とその意味
ラグビーの試合中、スクラムが行われる際、審判は特定の掛け声を用いて指示を出します。これには以下のようなものがあります:
- 「クラウチ」(crouch)
- 「バインド」(bind)
- 「セット」(set)
これらの言葉は一般的に「クラウチ」は「しゃがむ」、「バインド」は「結びつける」、「セット」は「配置する」と解釈されますが、ラグビーではこれらに特有の意味があります。「クラウチ」ではプレイヤーが腰を下ろし、「バインド」で相手をしっかりと掴み、「セット」で力を合わせて押し合います。
スクラム中のこれらの掛け声には、選手が正しく、安全に動作を行うための指示が込められています。具体的なプロセスは以下の通りです:
- 「クラウチ」との指示で、フロントローの選手たちは腰を下ろし適切な姿勢を取ります。
- 続いて「バインド」の指示で、プレイヤーは相手のジャージや腕をしっかりと掴みます。
- 最後に「セット」との掛け声で、プレイヤーたちは力を合わせて押し合いを開始し、その間にスクラムハーフがボールを投入します。
この一連の動作は、スクラムの安全性を高めるために重要です。特に体重の重い選手が多く参加するため、正確な手順を踏むことが必須となります。また、スクラムに参加する選手は専門的な訓練を受けており、全てのプレイヤーが参加できるわけではありません。
このように、審判の指示はスクラムを滑らかに進行させ、選手の安全を確保するために極めて重要な役割を担っています。
スクラムにおける審判の指示語の変遷
ラグビーは、ルールの頻繁な更新で知られるスポーツです。これらの変更は、試合をより魅力的にし、選手の安全を確保するために行われます。特にスクラムのルールは、時代と共に多くの変更が加えられてきました。
この記事では、スクラムの際に審判が使用する指示語の変遷について詳しく見ていきます。
「クラウチ」「アンド、ホールド」「エンゲージ」
スクラムの指示語の使用開始時期は明確ではありませんが、以前は「クラウチ」「アンド、ホールド」「エンゲージ」というフレーズが用いられていました。「アンドホールド」では、選手はクラウチの姿勢を保持する必要があり、「エンゲージ」は現在の「セット」に相当する役割を果たしていました。これらの掛け声がいつから使用されていたのかは不明ですが、スクラムの進行において重要な役割を担っていました。
「クラウチ」「タッチ」「ポーズ」「エンゲージ」の進化
2007年にはスクラムの際の審判の掛け声が「クラウチ」「タッチ」「ポーズ」「エンゲージ」へと更新されました。この改変で、「アンドホールド」が廃止され、「タッチ」と「ポーズ」が新たに導入されました。
この新しいシステムでは、「タッチ」でプロップ(1番と3番のポジション)は相手の肩に軽く触れ、その後手を引いて「ポーズ」で位置を保持します。その後、「エンゲージ」の号令で正式にスクラムが組まれます。
プロップが相手の肩に触れるのは、エンゲージ時に適切な距離を保ち、衝突時の衝撃を軽減するためです。
2012年にはさらに「クラウチ」「タッチ」「セット」へと再修正され、「クラウチ」「タッチ」はそのままに、「エンゲージ」が「セット」に置き換えられ、「ポーズ」が省略されました。この変更はスクラムの流れをスムーズにし、より効率的なものにするために行われました。