「大学生の子どもがアルバイトでたくさん稼ぐと、親の扶養はいつ外れるの?」「136万円・159万円・197万円は何が違うの?」と、2026年の年末調整を前に気になっている方も多いですよね。
大学生年代の子どものアルバイト収入は、収入額によって親が受けられる所得控除の種類や金額が変わるため、早めに目安を知っておくと安心です。
ただし、136万円・159万円・197万円は、子ども本人に税金がかかるラインではなく、親の年末調整で受けられる控除額に関わる金額です。
この記事では、大学生の子どもの給与収入と親の扶養に関する控除の関係を、年齢条件や所得の考え方、健康保険との違いも含めてわかりやすく整理します。
年末調整の書類を提出する前に、子どものアルバイト収入をどのように確認すればよいか、一緒に見ていきましょう。
この記事でわかること
- 大学生の子どもの給与収入が136万円・159万円・197万円のときに、親の控除額がどう変わるか
- 特定扶養控除・特定親族特別控除の対象となる年齢と「生計を一にする」条件
- 給与収入ではなく、子どもの合計所得金額で確認する理由
- 年末調整の扶養に関する控除と、健康保険の扶養で確認すべき基準の違い
大学生の子の給与収入は136万円以下なら特定扶養控除、159万円以下なら親の控除は63万円のまま
2026年分の年末調整では、大学生年代の子が給与収入のみを得ている場合、年収136万円以下なら親は特定扶養控除として63万円を受けられます。
年収が136万円を超えても、159万円以下であれば特定親族特別控除により、親が受けられる控除額は63万円のままです。
159万円を超えると控除額は少しずつ減り、197万円を超えるとこの控除の対象外になります。
136万円以下で適用できる特定扶養控除は63万円
子の給与収入が136万円以下であれば、親は年末調整で特定扶養控除63万円を適用できます。
これは、大学生年代の子を扶養している親の税負担に配慮した控除です。
ここでいう63万円は、親の所得から差し引ける控除額であり、税額そのものが63万円少なくなるという意味ではありません。
実際に軽くなる税額は、親の所得や適用される税率などによって変わります。
| 子の給与収入 | 親が適用する控除 | 親の控除額 |
|---|---|---|
| 136万円以下 | 特定扶養控除 | 63万円 |
たとえば、子のアルバイト代が年収130万円の場合は、親は特定扶養控除63万円を受けられます。
136万円超から159万円以下は特定親族特別控除で63万円を維持
子の給与収入が136万円を超えた場合でも、すぐに親の控除が減るわけではありません。
136万円超から159万円以下では、特定扶養控除ではなく特定親族特別控除の扱いとなり、親の控除額は63万円です。
つまり、年収136万円をわずかに超えたことだけを理由に、親の控除額が急に小さくなる心配はありません。
| 子の給与収入 | 適用される控除 | 親の控除額 |
|---|---|---|
| 136万円以下 | 特定扶養控除 | 63万円 |
| 136万円超159万円以下 | 特定親族特別控除 | 63万円 |
たとえば、子の給与収入が150万円であれば、親が受けられる控除額は引き続き63万円です。
収入見込みを確認するときは、時給だけで判断せず、年末までに受け取る予定の給与を合計して考えることが大切です。
159万円超から197万円以下は親の控除額が段階的に減る
子の給与収入が159万円を超えると、特定親族特別控除は受けられるものの、親の控除額は収入に応じて段階的に少なくなります。
収入が増えたことで控除が一度になくなる仕組みではないため、年収が少し増えただけで大きく状況が変わるわけではありません。
| 子の給与収入 | 親の控除額 |
|---|---|
| 159万円超164万円以下 | 61万円 |
| 164万円超169万円以下 | 51万円 |
| 169万円超174万円以下 | 41万円 |
| 174万円超179万円以下 | 31万円 |
| 179万円超184万円以下 | 21万円 |
| 184万円超189万円以下 | 11万円 |
| 189万円超194万円以下 | 6万円 |
| 194万円超197万円以下 | 3万円 |
たとえば、子の給与収入が170万円の場合、親が受けられる特定親族特別控除は41万円です。
年末にシフトを増やす予定があるときは、159万円を超えるかどうかだけでなく、どの控除額の区分に入る見込みかまで確認しておくと安心です。
197万円を超えると特定親族特別控除の対象外
子の給与収入が197万円を超えると、親は特定親族特別控除を受けられません。
197万円以下までは控除額が少額でも残りますが、197万円を超えた時点で控除額は0円になります。
ただし、給与以外の収入がある場合や、収入の内容によっては確認方法が異なることがあります。
アルバイト代以外に報酬、事業による収入、不動産による収入などがある場合は、給与収入の金額だけで判断せず、合計した状況を確認しましょう。
136万円・159万円・197万円は、親が受けられる所得控除額の境目
大学生の子の給与収入が136万円を超えても、親の所得控除がすぐになくなるわけではありません。
159万円までは親の控除額は63万円のままで、159万円を超えると段階的に減り、197万円を超えると控除額は0円になります。
この3つの金額は、子のアルバイト収入そのものに税金がかかる境目ではなく、親の年末調整で差し引ける所得控除額が変わる目安として見ることが大切です。
| 子の給与収入の目安 | 親が受けられる控除額 | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| 136万円以下 | 63万円 | 特定扶養控除の対象となる収入帯です。 |
| 136万円超159万円以下 | 63万円 | 制度上の区分は変わっても、親の控除額は同額です。 |
| 159万円超197万円以下 | 61万円~3万円 | 収入が増えるほど、控除額は段階的に小さくなります。 |
| 197万円超 | 0円 | 親はこの控除を受けられません。 |
年収160万円・180万円・196万円で親の控除額はどう変わるか
159万円を超えた後は、「いくら超えたか」によって親の控除額が変わります。
たとえば、子の給与収入が160万円、180万円、196万円の場合は、次のように考えます。
| 子の給与収入 | 該当する収入区分 | 親の控除額 | 63万円との差額 |
|---|---|---|---|
| 160万円 | 159万円超164万円以下 | 61万円 | 2万円少ない |
| 180万円 | 179万円超184万円以下 | 21万円 | 42万円少ない |
| 196万円 | 194万円超197万円以下 | 3万円 | 60万円少ない |
年収160万円であれば、159万円を1万円超えていても、親の控除額は61万円です。
63万円からの差は2万円なので、収入が少し増えただけで親側の状況が大きく変わるとは限りません。
一方、年収180万円では控除額が21万円となり、年収196万円では3万円まで小さくなります。
シフトを増やす予定があるなら、「159万円を超えるか」だけでなく、最終的にどの収入区分に着地しそうかを見ておくと予定を立てやすくなります。
136万円を少し超えても親の控除が直ちになくなるわけではない
136万円は大切な目安ですが、この金額を少し上回っただけで親の控除額が0円になる仕組みではありません。
136万円超159万円以下では、親が受けられる控除額は引き続き63万円です。
つまり、子の給与収入が137万円や150万円になった場合でも、親の控除額だけを見ると136万円以下の場合と同じです。
この点を知らないと、「136万円を超えそうだから働く時間を大幅に減らさなければ」と考えてしまうかもしれません。
ただし、収入が増えると159万円超からは控除額が少しずつ減るため、年末までの見込み額はこまめに確認しておくと安心です。
特に、繁忙期の追加シフトや単発のアルバイトがある場合は、月ごとの給与明細を合計して、年収見込みを更新していきましょう。
控除額の減少により親の税負担が増える考え方
親の控除額が減ると、その減った金額分だけ親の課税対象となる所得が増えるため、結果として税負担が増えることがあります。
ただし、控除額が減った金額と、親が実際に増やして負担する税額は同じではありません。
たとえば、親の控除額が63万円から21万円に減った場合、課税対象となる所得は42万円増えるイメージです。
実際に増える税額は、その親の所得状況や適用される税率、ほかの控除の状況などによって変わります。
そのため、「子が10万円多く働いたら、親の税金も必ず10万円増える」という考え方にはなりません。
- 子の給与収入がどの区分に入る見込みか確認する
- 親の控除額が前年と比べてどの程度変わるか見る
- 控除額の減少分と、実際の税負担の増加を分けて考える
収入を調整するか迷ったときは、子の手取りだけでなく、親の控除額がどこまで減る見込みかを一緒に確認するのがおすすめです。
136万円・159万円・197万円を「超えたらすべてが変わる線」と捉えるのではなく、親の控除額が段階的に変わる境目として理解しておくと判断しやすくなります。
対象になるのは12月31日時点で19歳以上23歳未満の、生計を一にする子
大学生であれば自動的に対象になるわけではなく、その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満であることと、親と生計を一にしていることの両方が必要です。
入学・卒業の時期ではなく、年末時点の年齢と生活費の関係で判断するため、同じ学年の学生でも扱いが異なる場合があります。
なお、年齢は原則としてその年の12月31日現在で確認します。
| 確認する項目 | 考え方 |
|---|---|
| 年齢 | その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満かを確認します。 |
| 続柄 | 子であることに加え、親族関係などの要件を満たしている必要があります。 |
| 生活の関係 | 同居の有無だけではなく、生活費や学費を誰が負担しているかを含めて、生計を一にしているかを見ます。 |
大学1年生でも年齢によって対象外になるケース
大学1年生であっても、12月31日時点で18歳であれば、年齢要件には当てはまりません。
たとえば、高校卒業後すぐに大学へ進学した場合、大学1年生の年末は18歳であるケースがあります。
この場合、大学生であっても19歳以上を前提とする区分の対象にはならないため、「大学1年生だから対象」とは判断できない点に注意が必要です。
一方で、浪人や留学、入学時期の違いなどにより、大学1年生の年末時点で19歳になっている場合は、年齢面の要件を満たす可能性があります。
- 4月に大学へ入学した時点の年齢ではなく、12月31日の年齢を確認する
- 学生証の学年だけで判断しない
- 生年月日をもとに、その年の年末時点の年齢を確認する
年齢の区分は年ごとに変わるため、前年に対象だったかどうかだけでなく、2026年12月31日時点の年齢を改めて確認すると安心です。
大学を卒業する年に年齢要件を外れるケース
大学を卒業する年であっても、12月31日時点で22歳なら年齢要件の範囲に含まれます。
反対に、卒業後に就職していても、年末時点で23歳に達している場合は、19歳以上23歳未満という年齢要件から外れます。
つまり、卒業式の日や就職した月ではなく、年末に何歳かが判断のポイントです。
| 年末時点の状況 | 年齢要件の考え方 |
|---|---|
| 大学4年生で22歳 | 年齢要件の範囲に含まれます。 |
| 卒業後に就職し、年末時点で22歳 | 卒業・就職だけを理由に年齢要件から外れるわけではありません。 |
| 大学在学中または卒業後で、年末時点で23歳 | 19歳以上23歳未満の年齢要件には当てはまりません。 |
特に、留年や進学、就職時期の変更があった年は、学年と年齢が一般的なイメージとずれることがあります。
年末調整の書類を準備するときは、卒業予定かどうかではなく、生年月日から年末時点の年齢を確認しましょう。
別居していても生活費や学費を送っている場合の考え方
大学進学を機に一人暮らしをしている子であっても、親が生活費や学費を継続して負担しているなら、生計を一にしていると考えられる場合があります。
生計を一にするとは、必ずしも同じ住所で暮らしていることではなく、日常生活の費用を共通の家計で支えている関係をいいます。
たとえば、親が家賃、食費、光熱費、学費などを負担し、子に定期的に仕送りをしているケースは、判断材料の一つになります。
- 毎月または必要な時期に生活費を送金している
- 授業料や教材費などの学費を親が負担している
- 帰省時には親の自宅で生活し、生活の基盤が親の家計にある
- 親と子の生活費が実質的につながっている
ただし、子が自分の収入だけで家賃や生活費、学費をまかない、親からの援助がほとんどない場合は、生計を一にしているかを個別に確認したほうがよいでしょう。
別居している場合は、仕送りの記録や学費の支払いが分かる資料を残しておくと、家計の関係を整理しやすくなります。
住所が別でも対象になる可能性はありますが、単に親子であることだけでは判断しません。
年齢と生計の要件を確認したうえで、年末時点の子の状況を申告書へ正確に反映することが大切です。
扶養の判定は給与収入ではなく、原則として子の合計所得金額で確認する
大学生の子を親の扶養に関する控除の対象として確認するときは、アルバイト代そのものではなく、給与収入から給与所得控除を差し引いた「給与所得」で考えるのが基本です。
アルバイト以外の収入もある場合は、それぞれの所得を合算した合計所得金額で判定するため、給与だけを見て判断しないようにしましょう。
アルバイト給与だけの場合の給与収入と所得金額の関係
子の収入がアルバイトの給与だけなら、給与収入から給与所得控除を差し引いて、扶養判定に用いる所得金額を求めます。
2026年分では、給与収入が一定額までの場合、給与所得控除は78万円として計算します。
そのため、給与だけの場合は、原則として「年間の給与収入-78万円」が給与所得金額の目安になります。
| 年間の給与収入 | 給与所得控除 | 給与所得金額の目安 |
|---|---|---|
| 136万円 | 78万円 | 58万円 |
| 159万円 | 78万円 | 81万円 |
| 197万円 | 78万円 | 119万円 |
たとえば、年間のアルバイト代が136万円なら、給与所得金額は136万円-78万円=58万円です。
このように、年末調整でよく見かける136万円・159万円・197万円という給与収入の目安は、給与所得控除を差し引いた後の所得金額に対応しています。
源泉徴収票の「支払金額」は給与収入、「給与所得控除後の金額」は給与所得を確認する際の参考になります。
ただし、勤務先から受け取る途中の給与明細だけでは年間額が確定しないこともあるため、年末までの見込みを含めて確認することが大切です。
掛け持ちアルバイトはすべての給与を合算する
コンビニ、飲食店、塾講師など、複数のアルバイト先がある場合は、すべての勤務先から受け取る給与収入を合算して考えます。
「メインのアルバイト先では少額だから大丈夫」とは限らず、勤務先ごとの金額を分けて判定するものではありません。
- アルバイト先A:年間90万円
- アルバイト先B:年間46万円
- 給与収入の合計:136万円
- 給与所得金額の目安:136万円-78万円=58万円
上のように2か所で働いている場合でも、給与収入の合計が136万円であれば、給与所得金額は58万円を目安に確認します。
掛け持ちをしている子は、各勤務先の給与明細、源泉徴収票、シフト予定などを集めて、年間の給与収入を早めに整理しておくと安心です。
なお、交通費として受け取った金額でも、税務上非課税となる範囲の通勤手当は、通常、給与収入に含めて考えません。
一方で、課税対象となる手当や給与として支給される金額は、給与収入に含まれることがあります。
給与以外の収入があるときは合計所得金額で判定する
子にアルバイト給与以外の収入がある場合は、給与所得だけでなく、ほかの所得も加えた合計所得金額で確認します。
たとえば、フリマアプリで継続的に販売して得た利益、動画や記事の制作による収入、業務委託の報酬、投資による所得などがある場合は、内容に応じて所得の扱いを確認する必要があります。
| 収入の例 | 確認の考え方 |
|---|---|
| アルバイト代 | 給与収入から給与所得控除を差し引く |
| 業務委託の報酬 | 必要経費を差し引いた所得を確認する |
| 継続的な販売による利益 | 売上ではなく、必要経費を考慮した所得を確認する |
| 奨学金 | 一般に給与や事業の収入とは異なるため、制度ごとの扱いを確認する |
特に注意したいのは、給与以外の活動では、受け取った総額がそのまま所得金額になるとは限らない点です。
たとえば業務委託の報酬は、仕事のために直接かかった費用を差し引いた後の金額で考える場合があります。
ただし、所得の種類や経費として認められる範囲、損失がある場合の計算は状況によって変わります。
給与以外の収入があるときは、自己判断で給与収入だけを基準にせず、収入の内容ごとに整理することが重要です。
年内に副業や単発の業務委託を始めた子は、報酬額、支払調書、経費の領収書などを保管し、合計所得金額を確認できるようにしておきましょう。
子本人の所得税・住民税の負担と、親の扶養控除は別々に確認する
大学生の子が親の控除対象になっていても、子本人に所得税や住民税がかかることはあります。
親の年末調整で受ける控除と、子本人が納める税金は別の基準で決まるため、アルバイト代は両方の視点から確認することが大切です。
特に、子の給与収入が110万円を超えるあたりからは住民税、160万円を超えるあたりからは所得税について、負担が生じる可能性を見ておくと安心です。
子本人に所得税がかかり始める目安
給与収入のみで、ほかに所得控除がない大学生の場合、所得税がかかり始める目安は給与収入が160万円を超えたときです。
これは、給与収入から給与所得控除を差し引いた給与所得と、本人の基礎控除をもとに計算されます。
給与収入が160万円以下であれば、原則として給与所得控除と基礎控除の範囲に収まり、課税される所得が生じない計算になります。
| 給与収入の目安 | 子本人の所得税 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 160万円以下 | 原則としてかからない | ほかの所得や控除漏れがないか |
| 160万円超 | かかる可能性がある | 源泉徴収票で給与所得控除後の金額を確認する |
ただし、この160万円は、給与収入だけがある場合の一般的な目安です。
業務委託の報酬、不動産収入、投資による所得などがある場合は、給与以外の所得も含めて判断する必要があります。
また、生命保険料控除や社会保険料控除などを受けられる場合は、実際に所得税がかかり始める収入額が変わることがあります。
アルバイト先で所得税が天引きされていても、年末調整や確定申告によって精算され、還付となるケースもあります。
住民税の基準は自治体によって差が出ることがある
住民税は、所得税よりも低い収入水準から負担が生じることがあり、給与収入110万円超がひとつの目安です。
給与収入のみで扶養親族などがいない場合、給与所得控除後の所得が一定額を超えると、住民税の所得割や均等割などの対象になる可能性があります。
住民税は前年の所得をもとに計算されるため、2026年に得たアルバイト収入に対する住民税は、原則として2027年度に納める流れです。
| 確認項目 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 主な計算時期 | その年の収入をもとに精算 | 前年の収入をもとに翌年度に課税 |
| 給与収入のみの場合の目安 | 160万円超で発生する可能性 | 110万円超で発生する可能性 |
| 注意点 | 各種控除で結果が変わる | 非課税基準などに自治体差がある |
住民税の非課税となる条件には、本人の扶養状況や障害者控除の対象かどうかなども関係します。
さらに、自治体によって細かな取扱いや案内の表現が異なることがあるため、正確な基準は住んでいる市区町村の案内で確認しましょう。
進学や就職準備で住所を移した場合は、原則としてその年の1月1日に住民票がある自治体が課税先となる点にも注意が必要です。
親の控除対象であっても子本人の税金が発生する場合
親が子について控除を受けられる収入範囲と、子本人の税金がかかり始める収入範囲は一致しません。
たとえば、子の給与収入が110万円を超えて160万円以下の範囲では、子本人に住民税がかかる可能性がある一方、所得税はかからないという状況があります。
また、子の収入が160万円を超えた場合は、子本人の所得税についても確認が必要になります。
その時点でも親側の控除がすぐになくなるとは限らず、子の年齢や所得金額に応じて親の控除額を判定します。
- 親:子の年齢と合計所得金額をもとに、年末調整で受けられる控除を確認する
- 子:給与収入、源泉徴収された所得税、住民税の見込みを確認する
- 家族:収入の見込みが変わったら、年内のうちに情報を共有する
つまり、「親の控除が受けられるから、子の税金もかからない」とは考えないことがポイントです。
親子それぞれの税金を分けて確認することで、年末調整後や翌年の住民税通知で慌てにくくなります。
健康保険の扶養は税金の136万円・159万円・197万円とは別の基準で判定される
大学生の子が親の健康保険の扶養に入れるかどうかは、年末調整における親の控除額とは別のルールで確認します。
税金で使う136万円・159万円・197万円の区分だけで判断せず、健康保険では子の今後の収入見込みや働き方もあわせて確認することが大切です。
また、子自身が勤務先の社会保険に加入する場合は、親の健康保険の扶養から外れることがあります。
| 確認する制度 | 主な判定の考え方 | 確認先 |
|---|---|---|
| 税金の扶養 | その年の所得金額と年齢 | 親の勤務先・税務署 |
| 健康保険の扶養 | 今後の収入見込み・働き方・加入状況 | 親の健康保険の窓口 |
| 家族手当 | 会社が定める支給条件 | 親の勤務先の人事・総務 |
健康保険の扶養は今後の収入見込みで見られることがある
健康保険の扶養認定では、前年の収入だけでなく、認定を受ける時点から先の年間収入見込みをもとに判定されることがあります。
たとえば、これまでの収入が少なくても、就職前に勤務日数を増やして毎月の給与が継続的に増える予定なら、扶養の扱いを確認したほうが安心です。
一般的には年間収入見込みが130万円未満であることが目安ですが、19歳以上23歳未満の子は、年間収入見込み150万円未満が目安となる取扱いがあります。
ただし、この年齢の判定や収入の数え方、手続きの時期は加入している健康保険によって確認が必要です。
健康保険の収入には、給与だけでなく、通勤手当や継続して受け取る手当などが含まれる場合があります。
税金の計算で用いる給与所得控除後の金額とは見方が異なるため、源泉徴収票の給与収入だけで自己判断しないようにしましょう。
- アルバイトの時給や勤務日数を増やす予定がある
- 複数の勤務先で働いている
- 通勤手当や各種手当を受け取っている
- 休学中で勤務時間が大きく変わる
- 卒業前に就職先で働き始める予定がある
このような場合は、親の勤務先を通じて健康保険の扶養条件と必要書類を早めに確認するとスムーズです。
学生でも勤務時間や勤務先によって社会保険に加入する場合
大学生であっても、勤務時間や契約内容によっては、勤務先の健康保険と厚生年金保険に加入する場合があります。
勤務先で社会保険の被保険者になると、原則として親の健康保険の扶養には入り続けられません。
学生は短時間労働者に関する社会保険の適用では対象外となることが多い一方、正社員に近い働き方をしている場合は扱いが変わることがあります。
たとえば、勤務時間と勤務日数が同じ職場の正社員のおおむね4分の3以上である場合は、学生であっても社会保険の加入対象となる可能性があります。
勤務先の規模や雇用契約の期間、休学の有無などによっても確認事項が変わるため、「学生だから必ず親の扶養のまま」とは限りません。
社会保険の加入に関して確認したい項目は、次のとおりです。
- 週の所定労働時間と月の勤務日数
- 雇用契約の期間と更新予定
- 勤務先から社会保険加入の案内を受けているか
- 休学や卒業によって学生ではなくなる予定があるか
- 複数の勤務先がある場合の働き方
勤務先から社会保険の加入について案内があったときは、親の健康保険の手続きも必要になる可能性があるため、親子で情報を共有しておくと安心です。
親の勤務先の家族手当は会社ごとの基準を確認する
親の勤務先から家族手当や扶養手当が支給されている場合、その条件は健康保険や税金の扶養条件と一致しないことがあります。
家族手当は法律で一律に決められた制度ではなく、会社ごとの就業規則や賃金規程で基準が定められているためです。
たとえば、子の年齢、学生であること、年間収入、健康保険の扶養に入っていることなどを支給条件としている会社があります。
収入の基準を超えた時点で届出が必要な会社もあれば、毎年の確認書類の提出時に判定する会社もあります。
健康保険の扶養を継続できる場合でも、家族手当の対象外になる可能性はあるため、給与明細だけで判断しないことが大切です。
確認するときは、親の勤務先の人事・総務担当者へ、子の年齢、学生であること、現在の勤務状況、今後の収入見込みを伝えると案内を受けやすくなります。
税金、健康保険、家族手当はそれぞれ窓口と判定基準が異なるため、収入が増えそうな時期には一つずつ分けて確認しましょう。
年末調整では親が勤務先へ申告書を提出し、子の収入見込みを正確に記入する
大学生の子について控除を受けるときは、親が自分の勤務先へ年末調整の申告書を提出する流れです。
子の年間給与の見込みが変わると控除の種類や金額に影響するため、複数のアルバイト先を含めた年内の収入見込みを確認してから記入しましょう。
申告書に記載する「所得金額」は、給与明細にある支給額をそのまま写す欄ではありません。
勤務先から配布される年末調整書類の案内に従い、給与収入から給与所得控除を差し引いた見込み額を記入します。
特定扶養控除を受ける場合の扶養控除等申告書の扱い
子が特定扶養控除の対象になる見込みなら、親は勤務先へ提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に子の情報を記載します。
年末時点の状況を見込んで、氏名、生年月日、マイナンバーなど勤務先から求められた事項を記入します。
子の給与収入が136万円以下の見込みであれば、勤務先の案内に従って控除対象扶養親族として申告する形が基本です。
特定扶養控除に該当するかの記載では、年齢区分の選択漏れにも注意しましょう。
| 確認する項目 | 記入時のポイント |
|---|---|
| 子の氏名・生年月日 | 本人確認書類やこれまでの申告内容と照らし合わせる |
| 子の住所 | 住民票上の住所など勤務先の案内に沿って記入する |
| 所得の見積額 | すべてのアルバイト先の給与を合計して見込む |
| 異動の有無 | 前年から内容が変わった場合は変更内容を反映する |
子がアルバイトを掛け持ちしている場合は、主な勤務先だけではなく、ほかの勤務先から受け取る給与も含めて確認することが大切です。
特定親族特別控除を受ける場合の申告書の記載
子の給与収入が136万円を超え、197万円以下の範囲に収まる見込みであれば、親は特定親族特別控除の申告を検討します。
この場合は、扶養控除等申告書とは別に、勤務先から配布される「給与所得者の特定親族特別控除申告書」への記載が必要になることがあります。
実際には、基礎控除や配偶者控除などの申告書と一体になった様式で配布される場合もあります。
申告書では、子の氏名、生年月日、親との続柄、子の合計所得金額の見積額などを記入します。
給与収入額と所得金額を取り違えると、控除額の計算にずれが生じるため注意が必要です。
子の給与収入が159万円以下の見込みであれば親の控除額は63万円ですが、159万円を超える見込みの場合は、収入に応じて控除額が段階的に変わります。
勤務先へ提出する前に、子本人へ年内のシフト予定、賞与の有無、年末までの勤務予定を確認しておくと記入しやすいです。
年末に収入見込みが変わった場合の訂正方法
年末に勤務日数が増えたり、予定していた勤務が減ったりして収入見込みが変わったときは、気付いた時点で親の勤務先へ相談しましょう。
年末調整の処理前であれば、申告書を訂正または再提出することで対応できる場合があります。
訂正方法は勤務先によって異なり、二重線で修正する方法、申告書を新しく書き直す方法、社内システムで入力し直す方法などがあります。
- 子に年内の給与見込みを確認する
- 親の勤務先の年末調整担当者へ変更を伝える
- 案内された方法で申告書を訂正または再提出する
- 源泉徴収票を受け取った後に内容を確認する
すでに年末調整が完了している場合でも、あわてずに源泉徴収票の内容を確認してください。
控除の申告内容と実際の収入に差があると分かったときは、次の確定申告で精算できることがあります。
年末調整に間に合わないときは確定申告で手続きする
勤務先への申告書提出が年末調整の期限に間に合わなかった場合は、親自身が確定申告をして控除の適用を受ける方法があります。
確定申告では、親の源泉徴収票や子の収入状況が分かる資料を用意し、該当する控除を選んで申告します。
子の勤務先が複数ある場合は、すべての勤務先分の給与を合計して確認することが必要です。
申告時点で判断に迷う場合は、源泉徴収票、給与明細、勤務先から受け取った案内をそろえて、税務署や税理士などへ確認すると安心です。
年末調整の書類は提出後も控えを残し、子の収入見込みを確認したメモも保管しておくと、翌年以降の手続きにも役立ちます。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- 大学生年代の子が給与収入のみの場合、136万円以下なら特定扶養控除の対象となります。
- 136万円を超えても159万円以下なら、特定親族特別控除により親の控除額は63万円のままです。
- 159万円を超えると親の控除額は段階的に減り、197万円を超えると対象外になります。
- 対象となるのは、12月31日時点で19歳以上23歳未満かつ、生計を一にする子です。
- 判定では給与収入だけでなく、給与所得控除後の合計所得金額を確認します。
- 子本人の所得税・住民税と、親が受ける扶養関係の控除は別々に考える必要があります。
- 健康保険の扶養は税金とは異なる基準のため、収入見込みや勤務先の社会保険加入状況を確認します。
- 年末調整では、複数の勤務先分も含めた子の年間収入見込みを親が正確に申告します。
大学生の子のアルバイト収入は、136万円・159万円・197万円を目安にすると、親の年末調整で受けられる控除の変化をつかみやすくなります。
ただし、税金の扶養、子本人の税負担、健康保険の扶養はそれぞれ確認方法が異なるため、ひとつの金額だけで判断しないことが大切です。
年末が近づいたら、子の給与明細や勤務先の数、これから受け取る予定の給与を一緒に確認しておくと安心です。
収入見込みが変わったときは、勤務先の案内や健康保険の窓口も確認しながら、落ち着いて年末調整の書類を準備していきましょう。
